ソニー健康保険組合

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かん予防ガイド「がんと生活習慣」

Dr.コラム 予防と検診 がんと生活習慣 がん情報のリンク

日本人における生活習慣要因と主要がんの関連の評価

がんの原因はさまざまですが、多くは生活習慣や感染症が関連していることが最近の研究でわかってきています。

<がんの“促進”に働く>

喫煙習慣とがん

タバコは肺がんだけでなく、さまざまながんの発生に影響を及ぼしていることがわかっています。喫煙者本人だけでなく、吸わない周りの人にも害を与えます。妻がタバコを吸わなくても、夫が1日20本以上吸うヘビースモーカーの場合、喫煙しない夫をもつ妻と比べて、肺がんの死亡率が2倍以上も高いという報告もあります。タバコは『百害あって一利なし』、がん予防のためにも禁煙しましょう。

飲酒習慣とがん

アルコールを飲み過ぎると肝臓に影響を与えるのはよく知られていますが、そのほかの器官において特に食道がんや肝がん、大腸がんの発生リスクを高めるのは明らかなようです。アルコールは代謝されてアセトアルデヒドに変化し、このアセトアルデヒドに発がん性があるのではないかと考えられていますが、まだはっきりとした機序はわかっていません。ただ、飲み過ぎのうえに喫煙も重なると悪い因子が相乗的に働いて、がんの危険も増します。『酒は百薬の長』と言われていますが、お酒はほどほどに・・・。

塩・塩蔵品の摂取とがん

胃がんの発生と塩分の摂取は密接な関係があると指摘されています。1日に摂る食塩の量はできるだけ少なくすることが望まれます(目標量:男性8.0g/日未満、女性7.0g/日未満(日本人の食事摂取基準2015))。塩分の多い食品を多量に食べないこと、できるだけ塩味を抑えた調理を心がけましょう。

加工肉と赤肉

ハム、ソーセージなどの加工肉および赤肉(牛、豚など。鶏肉は含まない)は大腸がんのリスクを上げる可能性があります。国際的な基準では赤肉の摂取は1週間に500gを超えないようにすすめていますが、日本人の摂取量は世界的に見ても低く、平均的摂取の範囲であれば大腸がんのリスクへの影響はないか、あっても小さいと言えます。赤肉はたんぱく質やビタミンB、鉄、亜鉛など私たちの健康維持にとって有用な成分もたくさん含んでいますので、健康全般を考えると、今回の評価を受けて極端に量を制限する必要性はないと言えます。

熱い飲食物摂取とがん

熱い茶粥をよく食べる地方に食道がんが多いという報告があります。熱いものはなるべく避け、冷ましてから食べることをおすすめします。

BMI(肥満)とがん

肥満が大腸がんや肝がんの発生リスクを上げることは「ほぼ確実」で、閉経後の乳がんに対しては「確実」と評価されました。がんだけでなく、肥満はさまざまな生活習慣病のもとですから、食べすぎを避け、 脂肪摂取は控えめに。長生きの秘訣は腹八分目にあり!

感染症とがん

近年、「ヘリコバクターピロリ」という細菌が胃に寄生していることが発見され、このピロリ菌が胃がんのリスクを上げることがわかりました。肝がんの原因は、60歳未満ではB型肝炎・C型肝炎ウイルスがほとんどです。子宮頸がんはヒトパピローマウィルス(HPV)感染でおこります。いずれのがんも、ウィルスに感染していても初期の段階では症状はありません。定期的にがん検診を受け、機会があればウィルス感染検査をすることが望まれます。

<がんの“抑制”に働く>

運動習慣とがん

身体活動は大腸がん(結腸)のリスクを下げることがほぼ確実であるとされています。最近、一日中イスに座って仕事をしている人の間に大腸がんが多いという研究結果も出されています。運動は生活習慣病予防、改善にも不可欠なものですし、こまめに体を動かす習慣は現代人にとって必須ですね!

野菜・果物の摂取とがん

野菜や果物に含まれる食物繊維とビタミン類は、発がん抑制の効果があると言われています。ニンジンやほうれん草などに多く含まれるカロテン、ビタミンAを多く摂ることで肺がんや胃がんなどに罹りにくくなることが知られています。また、食品に含まれる物質同士が体内で反応しあって発がん物質が作られる場合があるのですが、ビタミンCやEはこの反応を抑える働きがあります。食物繊維やビタミンはサプリメントの摂取に頼らず、自然の食品の中からしっかり摂りましょう。

緑茶の摂取とがん

緑茶は女性の胃がん抑制に効果があるということがわかってきました。なぜ男女差があるのか?などはまだ研究が進んでいないため明らかではありませんが、1日当たり5杯以上飲む女性で胃がんのリスクが3割ほど抑えられたというデータがあります。

コーヒーの摂取とがん

日本の複数の研究で、コーヒーが肝がんのリスクを低下させることが報告されました。国際的にはデータが不十分なため、リスクを低下させるという結論にはいたっていません。今後、メカニズムの解明とともに検証が必要なものです。現段階では、飲む習慣のない人に対して、無理して飲むことをすすめるものではありません。

【参考文献】
〔日本人のためのがん予防法(独立行政法人国立がん研究センター予防研究部、平成27年2月)〕
〔科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究(国立研究開発法人国立がん研究センターがん予防・検診研究センター ホームページ)〕
〔立道昌幸:シリーズがん検診の今「がんの予防と検診について」(ソニー健康保険組合HAIJII2010年4月号)〕

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