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女性のからだ「月経の基礎知識」

女性のからだ セルフケア 健診/検診について お役立ち情報

月経と上手に付き合うために

初経から閉経までの平均40年間、ほとんどの女性が経験する月経は性周期という身体リズムをもっています。月経は周期的なリズムを持っているため自分の健康を把握しやすくなるという、女性にしかない優れた機能です。しかし、月経に伴う不快な症状に煩わしさを感じたり、月経の遅れやトラブルなどで悩んだ経験のある女性も多いはず。
そんな女性のために、月経と上手に付き合い快適な生活を送るヒントとなるよう、月経に関する基礎知識とセルフケアについてご紹介していきます。

月経随伴症状

月経随伴症状は、月経前や月経中に下腹部痛などの身体症状や、いらいらなどの精神症状、人につらくあたってしまうなどの社会症状などで、月経が始まる事で症状は消失していきます。その頻度は、全女性の50~80%が経験しているといわれています。そのうち、治療を希望される または治療が必要となるのは、3~7%程です。
症状が起こる時期によって、「月経前症候群」、「月経困難症(月経痛)」などどいわれます。次のような月経随伴症状が、日常生活に支障をきたす程の重度であれば、医師に相談した方が良いでしょう。ひとりで悩まず、婦人科を受診しましょう。

主な月経随伴症状

身体症状 下腹部痛、腰痛、頭痛、頭が重い、疲れやすい、眠くなる、おりものが増える、身体のだるさ、乳房が痛い、乳房がはる、肩こり、めまい、手足の冷え、むくみ、食欲が増すまたはなくなる、甘いものが食べたい、下痢、便秘、にきびができやすい、肌荒れ、デリケートゾーンのかゆみ
精神症状 いらいら、怒りやすい、攻撃的になる、気分が高揚する、無気力、憂うつ、涙もろい、不安が高まる、集中できない、能率が低下する、性欲が高まるまたは減退する
社会的症状 いつもどおりの仕事ができない、物事が面倒くさくなる、他人と口論する、家に引きこもる、1人でいたい、家族友人への暴言、人づき合いが悪くなる、整理整頓したくなる、自分の健康管理が出来ない、月経がいやになる

月経前症候群(PMS:premenstrual syndrome)

月経前症候群とは、月経開始の3~10日くらい前から始る精神的、身体的、社会的症状で月経開始とともに症状が軽くなったり、治まったりするものです。症状には個人差がありますが、女性なら誰でも経験する可能性があり、ピークは30歳代と言われています。
原因は排卵後の女性ホルモンの急激な変化が関係していると考えられていますが、はっきりとした原因は分かっていません。でも精神的な影響がとても大きく、ストレスがかかると症状を悪化させる事がわかっていますので、セルフケアのポイントを参考にして頂き、心身のストレスを上手に解消しましょう。
もし、日常生活に支障がでるようなら、無理してがまんせずに婦人科に相談してみましょう。治療は、それぞれの症状に応じての対処療法として、低用量ピルや精神安定剤、漢方薬、ビタミン剤などが使われます。

月経困難症(月経痛)

月経時には、多くの女性が下腹部痛・腰痛などの痛み(月経痛)がありますが、日常生活に支障をきたすほどのものを月経困難症といいます。
症状としては、月経痛の他に頭痛や疲労感・倦怠感、食欲不振、下痢などの身体症状、いらいら、憂うつなどの精神症状などの症状が伴うこともあります。
月経困難症には2種類あり、「器質性月経困難症」と「機能性月経困難症」です。

月経困難症の種類 器質性月経困難症 機能性月経困難症
原因 子宮や子宮の周囲などに病気があり、それが原因となって起こる月経困難症。
原因となる病気は、子宮内膜症や子宮筋腫、骨盤内炎症などがあります。
子宮や子宮の周囲などに異常がないのに起こる月経困難症。
原因としては、プロスタグランジンというホルモンが影響して起こります。
治療方法 検査結果にあわせ、適切な治療が行われます。

●その他の月経痛の原因

無排卵周期にともなう月経痛の原因
子宮の発育がまだ不完全な「子宮発育不全」や月経の量が多い「過多月経」が考えられます。

心因性月経痛の原因
月経に対する不安や、恐怖、嫌悪、緊張などの精神的負担から、自律神経の失調によって骨盤内の充血を起こし、血管系反応の異常から子宮筋層の阻血が起こって痛みを生じていることや、精神的因子によっての痛みの閾値が低下して痛みを感じやすくなっていることが考えられます。

【参考文献】
〔吉沢豊予子・鈴木幸子:女性看護学(メヂカルフレンド社、2008)〕
〔久米美代子・飯島治之:ウーマンズヘルス(医歯薬出版株式会社、2007)〕
〔松本清一:月経らくらく講座(株式会社光文堂、2006)〕

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月経

月経とは、「通常、約1ヵ月の間隔で起こり、限られた日数で自然に止まる子宮内膜からの周期的出血」とのことです。 月経の初日を、月経周期の第1日目と数えます。そこから次の月経の前日が1つの月経周期となります。月経周期は、卵巣からでる女性ホルモンの作用で周期的に変化します。女性ホルモンとは「エストロゲン」と「プロゲステロン」が交互に出て、下記のような月経のリズムとなります。

月経の周期や日数は個人差があります。また複雑なホルモンの変動で起こるので、ストレスや生活の乱れで変わりやすく、常に一定とは限りませんが、一般的に正常な月経を正常月経の目安で見てみましょう。もし、正常月経の目安に当てはまらない場合や、気になる症状がある時は、受診の目安をご参考にして頂き、ひとりで悩まず医師に相談しましょう。

月経のリズム

1 月経
妊娠しなければ、エストロゲンとプロゲステロンの量が減少し、子宮内膜は出血をともなって剥がれ落ち、体外へ排出される
2 卵胞期
卵胞が育っていく時期。エストロゲンによって、少しずつ子宮内膜が厚くなっていく
3 排卵
成熟した卵胞から、卵子が飛び出す時期
4 黄体期
排卵後、卵巣内の卵胞が黄体に形成される時期。この黄体からプロゲステロンが多く分泌され、子宮内では妊娠しやすい環境を整える

正常月経の目安

初経年齢 10~14歳
月経周期日数 25~38日の間(変動が6日以内)
経血出血期間 3~7日間
経血量 20~140ml
閉経年齢 45~55歳

受診の目安

月経周期
  • 月経周期がいつもより短い(24日以内)、または長い(39日以上)
  • 周期が一定でなく、正常周期に当てはまらない
  • 妊娠の可能性がないのに、これまであった月経が3ヵ月以上こない
経血出血期間
  • 出血日数が短い(2日以内)、または長い(8日以上)
出血量
  • 経血量の80%は2日目までに排出されるが、3日目を過ぎても量が変わらないまたは多い
  • ナプキンを1時間ごとに替えないともたない
  • 寝ている時に夜用のナプキンを重ねても経血があふれてしまう
  • レバーのような塊がたくさん出る
  • 経血量が極端に少ない
  • 年々経血量が増えている(年齢の考慮)
月経の痛み、時期、程度 (◎若い人ほど月経開始時期に強い痛みを感じる。また中等度~弱い痛みが2日目まで続くことが多い)
  • 痛みが強い
  • 生活に支障をきたすような痛みが続く
  • 年齢が増すほど痛みの程度が強く、持続期間が長くなっている
  • 鎮痛剤の使用量が増えている
初経の時期
  • 満18歳になっても初経が起こらない
その他
  • 貧血の症状が現れる(めまいや息切れ、顔色の不良など)

【参考文献】
〔吉沢豊予子・鈴木幸子:女性看護学(メヂカルフレンド社、2008)〕
〔久米美代子・飯島治之:ウーマンズヘルス(医歯薬出版株式会社、2007)〕
〔松本清一:月経らくらく講座(株式会社光文堂、2006)〕

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基礎体温

基礎体温とは、一番安静な状態にあるときの体温のことです。測定した結果を、記録することでからだのリズムを把握し、体調管理をすることができます。
基礎体温の記録をつけたことのない方は、これを機会に基礎体温を測定してみましょう。
基礎体温の測り方は、朝起きたら身体を動かす前の寝たままの状態で、婦人体温計を使って舌の下で5分測りましょう。

基礎体温でわかること

基礎体温の測定で、次のことがわかります。基礎体温は常に一定ではなく、ちょっとした生活の乱れで変化しますので、月経周期の3周期ほど記録しましょう。
また基礎体温表には、基礎体温と一緒に経血量やおりもの、気になった症状、1日の出来事や気づきなどを記録しておくとからだのリズムを把握するのに役立ちます。身体的、精神的な変化が月経周期から分かれば、変化に合わせ積極的にセルフケアをすることで、月経随伴症状の緩和がはかれます。

参考リンク
1.月経周期 月経周期の時期
2.月経日 月経の始まる時期
3.排卵 排卵の有無、排卵日の推定、排卵の自覚症状
4.体調 月経前・月経中の月経随伴症状がでやすい時期
5.その他 妊娠の有無、不正出血の有無など

【参考文献】
〔吉沢豊予子・鈴木幸子:女性看護学(メヂカルフレンド社、2008)〕
〔久米美代子・飯島治之:ウーマンズヘルス(医歯薬出版株式会社、2007)〕
〔松本清一:月経らくらく講座(株式会社光文堂、2006)〕

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セルフケアのポイント

女性ホルモン(エストロゲン)はからだとこころの両面から女性を守っており、周期的に低下する時期(排卵後・月経前)や、年齢とともに低下する時期(更年期)、および出産後には、からだもこころも不調をきたしやすいといわれています。
また、現代の女性は、妊娠出産の回数が昔より少ないため、昔より月経回数が10倍も多いことから、月経関連の様々な不調や、子宮内膜症・子宮筋腫等の婦人科疾患に悩む女性が増えています。
月経痛を「生理だから」と我慢したり、気になる関連症状を放置せず、日頃から上手にセルフケアしていきましょう。

参考リンク

からだのリズムをみつめる

まずは、基礎体温表やウーマンズダイアリーをつかって、自分のからだのリズムを知ることがポイント!
基礎体温をつけると、排卵の有無や、排卵日の推定もできます。
からだのリズムがつかめたら・・・

月経前は、生活時間にゆとりをもって、ゆっくり過ごしましょう。

排卵後・月経前(妊娠にそなえてエネルギーをためこむ時期)は、「なんだか調子悪い」時期。
無理をせず、ゆっくり過ごせるよう生活時間を調整しましょう。
ここで無理をすると、からだのリズムが崩れやすくなります。

リラックスできる時間を大切に!

緊張やストレスは、女性ホルモンの分泌や、自律神経のバランスに影響を与えやすく、月経痛の増悪の一因とも言われています。

~おすすめリラックス法~
リラックスモードの自律神経(副交感神経)を刺激し効果抜群!

  • 半身浴(ぬるめの長風呂)・・・水圧効果や保温効果で、むくみや月経痛の改善にも効果あり!
  • 適度な運動・・・「気持ちがいいな」と思う程度←この感覚がリラックスできている証です。
    ex有酸素運動、ストレッチ等

からだを温める

からだの冷えは、月経関連の不調や自律神経失調の原因に。

~おすすめリラックス法~はからだもあたたまって、一石二鳥です!

栄養バランスの良い食事

ビタミンやミネラルが不足すると、月経前症候群の症状が強くなると言われています。
月経前のむくみによる体重増加を「太った」と勘違いし、食事制限をする女性がいるようですが、そうするとビタミンやミネラルが不足傾向に。
砂糖の多いものは疲労感、塩分の多いものはむくみ、カフェインの過剰摂取はいらいらの原因にも。
菓子類、食塩の多い加工品、カフェインの含まれた飲料、アルコール等は控え、栄養バランスの良い食事を心がけましょう!

参考リンク

禁煙

女性ホルモンが分泌される卵巣の寿命は、喫煙によって短くなるといわれています。

婦人科のかかりつけ医をもちましょう!

つらい月経随伴症状の治療(鎮痛剤、低用量ピル、漢方療法等)や、各婦人科疾患の治療について、気軽に相談しましょう。
病気の早期発見につながりますし、「相談できる」ことは、ホルモンのバランスとともに揺れ動きやすいこころの安定につながります。

参考リンク

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私の月経チェック紹介

ここでは、実際にチェックした結果や基礎体温を記録してみた感想をご紹介しています。

いつも28日周期で月経がきていたのですが、忙しかったりすると、遅れ気味になり、とても不安になっていました。
今回、月経周期をチェックしてみて、月経前に不安感が強くなること、遅れても目安内なので心配がないことがわかりました。そして月経の始まる日がわかるようになり、体温の変化で、自分では自覚できていなかった疲れなども知ることができるようになりました。
今では、記録機能付きの基礎体温計を活用しているので、負担も感じず、体温の変化に合わせ、月経前は睡眠をたっぷりとったり、不安感を軽減するために気になる事は身近な人に相談するなど、対処することができています。

30代前半

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