ソニー健康保険組合

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女性のからだ「更年期の健康管理」

女性のからだ セルフケア 健診/検診について お役立ち情報

加齢による性ホルモンの減少でさまざま体調不良が起こり始めるのが更年期です。
その症状の現れ方や症状の程度は人それぞれで異なりますが、それはホルモンの減少の他に、その人の性格、人間関係や日頃の生活習慣などの生活環境が影響するためです。
更年期を健やかに過ごすためには、更年期症状について理解し、心身ともに負担をかけないような生活習慣を身に付けましょう。

参考リンク

更年期はその後に続く健康人生の準備期間

更年期を「女性のライフサイクルの中の、成熟期の次に来る人生を楽しむための心身の転換期であり、生活習慣を改善する機会」と考えましょう。
また、男性にも更年期があり、多くの夫婦はそれぞれの更年期を迎えることになります。更年期をスムーズに乗り越えるためにも、更年期がもたらす症状をお互いが理解しあい、コミュニケーションのとり方をもう一度見直し、「女性と男性が協力しあって更年期を乗り越える」こと、それがもう一つの治療法と言えるでしょう。

更年期の症状

更年期に現れる主な症状は身体的、精神的および性機能低下などがあります。
自分にその症状があるかどうか、下記の表でチェックしてみましょう。点数が高くなるほど更年期の症状が日常生活に支障をきたしている事が疑われます。
もちろん、それ以外に他の疾患が隠れている可能性もあるので、「点数が高い」「症状が長く続く」「今までになかった症状が現れる」など、少しでもつらいと感じることがあったら 医療機関を受診しましょう。
なお、日常生活にも支障が出るほど症状がひどい場合を更年期障害といいます。

更年期症状をチェックしてみましょう

簡略更年期指数(SMI:Simplified Menopausal Index)
4段階の自覚症状のうち該当するレベルに○をつけて合計点を出しましょう。なお、複数の症状がある質問項目の場合、 どれか一つでも強くあれば「強」に○をつけましょう。


更年期を快適に過ごすために

更年期症状の対処方法は特別なものではありません。メタボリックシンドロームや生活習慣病、メンタルヘルス対策と同じで食事・運動・睡眠・リフレッシュが大切です。

参考リンク

更年期症状を軽くする治療

薬剤による治療には、ホルモン補充療法と漢方療法があります。

  • ホルモン補充療法(HRT)
    からだに不足している女性ホルモンを補充しホルモンレベルを一定に保ちます。
    薬の種類として、皮膚に塗るジェルタイプや、貼るパッチタイプ、飲む錠剤タイプなどがあります。女性ホルモンの不足により自律神経が混乱して出てくるいろいろな症状に対して治療効果が高く、即効性があるのが特徴です。
    特にのぼせ、発汗などに有効です。更年期に関連して起こりやすい「萎縮性膣炎」「骨粗鬆症」「脂質異常症」に対する予防効果や、コラーゲンが増加することによる肌の張りや粘膜の潤いなども効果の一つです。
    ホルモン療法については、病気の種類によっては受けられない場合もあるので医師の指示に従いましょう。
  • 漢方療法
    漢方療法は、出ている辛い症状を取り除く治療法です。女性ホルモンが減っていく状態にからだが慣れるのを助ける方法です。漢方薬は、効き目が出るまで時間がかかるので、2~3週間薬を試して、調整していくのが一般的です。
    冷えや頭痛、肩こり、めまいなどの症状に効果があり、症状が比較的軽い場合やホルモンがあまり低下していない場合などに適しています。
主な漢方薬 タイプと症状
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 冷え性でむくみやすいタイプ
ほてり、冷え性、頭痛、肩こりなど
加味逍遥散(かみしょうようさん) イライラや不安のあるタイプ
ほてり、精神的に不安定、不眠、めまいなど
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) のぼせ、ほてりのある人
ほてり、肩こり、手足の冷えなど

受診する医療機関について

更年期外来や女性外来、更年期に詳しい婦人科などへ。
ストレスが関係している場合や精神的な症状が強いときは、心療内科や精神科の医師に相談しましょう。

更年期と生活習慣病

脂質異常症

脂質異常症とは、血液中のコレステロールや中性脂肪が多すぎる状態のことです。
この状態が続くと脂質が血管の内側にたまり、動脈硬化になります。動脈硬化になると心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などの原因となります。
脂質異常症は男性に多い病気ですが、更年期になると女性でも増えてきます。その理由として、女性ホルモン(エストロゲン)は、血液中には善玉コレステロール(HDL-C)を増加し、悪玉コレステロール(LDL-C)を減少させる働きがありますが、閉経後はこうした働きが失われるためです。
脂質異常症は、日ごろの生活習慣などが反映されやすいので、食生活や運動に気をつけましょう。

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骨粗鬆症

骨粗鬆症とは、骨の量が減ってスカスカになり、骨折をおこしやすくなっている状態、もしくは骨折をおこしてしまった状態のことをいいます。この状態が進むと立ち上がる時や重たいものを持つ時などに背中や腰が痛んだり、背中や腰が曲がってきます。
女性ホルモン(エストロゲン)は、丈夫な骨を維持するために重要な働きをし、骨の破壊を防止し、骨の中にカルシウムを蓄える作用があります。更年期以降の女性では、エストロゲンの作用が弱まるため、骨を丈夫にする作用が弱まり、骨粗鬆症になりやすくなります。
骨粗鬆症は、女性ホルモンの影響だけでなく、遺伝や体質、食生活や運動習慣などが関係していますので、日ごろから食生活や運動に気をつけましょう。

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乳がん

乳がんは、30歳代から増加しはじめ、50歳代にピークをむかえます。早期発見、早期治療できれば根治できるがんなので、セルフチェックを習慣にし、乳がん検診(40歳以上)は2年に1度は受診しましょう。

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子宮がん

子宮がんには、子宮頸がんと子宮体がんの2種類があります。
子宮頸がんは、20歳代後半から30歳代に多く、子宮体がんは、50歳代に多く閉経後はさらに多く発症します。どちらも初期症状を早期に見つけることで、治る確率も高くなるので、定期的ながん検診を受けましょう。また、「月経とは無関係な異常出血、おりもの」などの症状がみられる場合は決して放置せず、婦人科の診察を受けましょう。

参考リンク

セルフケアのポイント

更年期以降を健やかに過ごすためには、「運動・食事・リラクゼーション」が必要です。
それぞれのポイントを参考にし、適度な運動をはじめたり、食生活を整えるなど日常生活の改善をはかり、ストレスを上手に解消しながら更年期を上手に乗り越えましょう。

運動のポイント

女性ホルモンの減少に伴う生活習慣病(脂質異常症、高血圧症、糖尿病、動脈硬化症など)の発症や症状悪化を予防するため、また更年期症状である不定愁訴(特定の臓器や場所、疾患とは関連がなく「何だか調子が悪い」と表現されるような漠然として多様な自覚症状)の軽減にも運動は効果があります。また、生活のリズムや体調を整える効果もありますので、心身ともに健やかに過ごすためにも積極的に運動を取り入れましょう♪
ただ、無理な運動は健康障害を招くことがありますので、ご自身の体調やペースにあった楽しく快適に行えるような運動がおすすめです。

  • ○有酸素運動をしましょう
    加齢に伴い基礎代謝が低下するとエネルギー消費量が減り、余ったエネルギーは脂肪として蓄積されます。また、女性ホルモンの減少により、悪玉コレステロール(LDL-C)が増加、善玉コレステロール(HDL-C)が減少し、血糖値も高くなる傾向があります。そのためにも有酸素運動で脂肪や糖を燃焼させましょう!
    有酸素運動の中で、もっとも簡単に出来るのが歩きingです。膝や腰、足首への負担も少なくどこでも誰でも簡単に出来ます。骨に刺激が加わるので、骨粗鬆症予防の効果もあります。また、外の景色を眺めながら歩くことで、気分のリフレッシュも期待できます。
参考リンク
  • ○筋力アップ運動をしましょう
    筋肉は最大のエネルギー消費器官です。基礎代謝の低下を食い止め、生活習慣病を予防するためにも筋力アップ運動は大切です。また筋力が衰えると腰痛や肩こりになるほか、血液循環が悪くなり冷え性やむくみといった女性が抱える症状にも影響を及ぼします。筋力アップ運動を行うと、これらの症状改善のほか、姿勢も良くなります。良い姿勢は若々しく見えるポイントです!筋力アップ運動も有酸素運動と合わせて行うことをおすすめします。
参考リンク
  • ○ストレッチをしましょう
    女性ホルモンの影響により自律神経系のバランスが崩れると、ほてりや発汗、腰・手足の冷え、肩こりなどの症状が現れますが、ストレッチなどからだのコンディションを整えるような運動は 筋肉をリラックスさせ自律神経のバランスを整える作用があります。からだとこころは連動しているので、ストレッチで心身ともにリラックス・リフレッシュしましょう。
   

食生活のポイント

更年期以降の健康を保つためには、まず肥満予防です。歳を重ねると基礎代謝が落ちるため、若い頃と同じような食事を摂っていても脂肪として体内に蓄えられてしまいます。日ごろよりバランスのとれた食事を規則正しくとるように心がけましょう。

  • ○適正なエネルギー内で食事をしましょう
    活動レベルにあった必要エネルギー量を摂取しましょう。
    心がけとして、食事は腹八分目にし、間食はなるべく控えましょう。
参考リンク
  • ○良質のたんぱく質を摂りましょう
    卵や牛乳、乳製品、肉や魚、豆腐にはカルシウムも豊富に含まれており、たんぱく質をとる事によりカルシウムが効率よく吸収されます。
  • ○脂質の摂取は控えましょう
    動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸を多く摂ることで、血中のコレステロール値を増加させるので控えましょう。 逆にコレステロールを低下させる不飽和脂肪酸を多く含む魚や植物性の油脂をおすすめします。
  • ○カルシウムやミネラルを多く含む食事を摂りましょう
    骨粗鬆症を防ぐためにも乳製品や小魚、豆腐などのカルシウムを摂るように心がけましょう。カルシウムの吸収を高め、骨に吸着させる働きがあるビタミンDを活性化させるために、屋外で日光浴を心がけましょう。
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  • ○食物繊維を摂りましょう
    食物繊維は、コレステロールを体外に排出したり、糖質の吸収を抑えますので、肥満防止にもなります。

リラクゼーションのポイント

更年期の症状は、ホルモンバランスが崩れるだけでなく、様々なストレスも影響してでてくるものです。小さなストレスでも重ねていくうちに、からだにいろいろな症状が現れますので、自分自身にあったストレス解消法を身に付けましょう。

参考リンク
  • ○十分な睡眠と休養をとりましょう
    生活のリズムを整え、睡眠や休養で、心身の疲れをとりましょう。よりよい睡眠をとるために就寝前にぬるめお風呂でゆっくり入浴(例 半身浴など)したり、ストレッチやマッサージで緊張をほぐすとよいでしょう。
  • ○悩みは一人で抱え込まないようにしましょう
    悩みを相談しやすい人に相談しましょう。話をすることで気持ちが楽になります。
  • ○趣味の時間を作りましょう
  • ○アロマテラピーでリラックスしましょう
種類 効果
ラベンダー からだを温めむくみやうっ血を改善
イランイラン 緊張やストレスを解きほぐす
ローズマリー 疲労回復、冷え、むくみを解消
ペパーミント 心の不快を取り除き元気を取り戻す

喫煙者は禁煙をしましょう

喫煙は、ホルモンの分泌を抑制させる要因となり、血行不良にもつながるため禁煙しましょう。

参考リンク

【参考文献】
〔財団法人健康・体力づくり事業財団:健康づくり№383(2010)〕
〔東舘紀子:NHKテレビテキスト今日の健康(2009)〕
〔財団法人日本家族計画協会:中高年女性健康教育マニュアル(2008)〕

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